2ストと4ストの違いを簡単に解説

バイクの基礎知識

2ストと4ストの違いを簡単に解説

 

  • 「実用的にバイクを使いたいのだけど2ストと4ストどっちがいいのかな」
  • 「バイクを購入するにあたって2ストと4ストの違いを知っておきたい」

 

バイクのエンジンには大きく分けて2ストと4ストの2つがあります。構造はそれぞれに違うことから、使用用途に合わせて選ぶことが大切です。バイクを購入する理由は「実用」「趣味」など人によってさまざまあります。

 

用途に合わないエンジンを選ぶと後悔するかもしれません。事前に2ストと4ストの違いを確認しておきましょう。そこで今回は「2ストと4ストの違い」について簡単に解説をします。それぞれのメリットとデメリットと併せて参考にしてください。

とは言え、現在(2025年段階)では、2ストロークバイクはほとんどがモトクロスやオフロードの競技用モデルです。
そのため、2スト好きのライダーは旧車を大切に所有したり、2スト限定のレースやイベントに参加したりする傾向が強まっています。

2ストと4ストの違いを簡単に解説

 

2ストと4ストの違いを簡単に解説

 

2つの違いは「加速力に優れる2スト」、「安定性と快適性に優れる4スト」です。現代のバイクはほとんどで4ストを搭載しています。まずは一覧表から2つの違いを確認しておきましょう。

 

2ストと4ストの違い一覧表

比較内容 2スト 4スト
エンジンの動き 1往復で燃焼(2工程) 2往復で燃焼(4工程)
工程 ピストン上昇時に「吸気&圧縮」ピストン下降時に「燃焼&排気」 吸気(ピストン上昇)→圧縮(ピストン下降)→燃焼(ピストン上昇)→排気(ピストン下降)
オイル ガソリンと一緒に燃える エンジン内部の潤滑油
パワー感 加速力が優れている 滑らかな走行で安定
重量 軽い 重い
大きい 静か
排気ガス 煙が出やすい クリーン
燃費 悪い 良い

 

2ストのバイクはその特徴から「モトクロス」におすすめです。短距離移動の交通手段に向いています。逆に長距離などのツーリングで乗るなら4ストのバイクがおすすめです。

 

2ストの仕組みを詳しく解説

 

2ストはピストンの1往復、すなわち2ストロークで1度の燃焼を起こします。クランクシャフトが1回転することでパワーを出すのが特徴です。

  1. ピストンが下から上に移動し「空気+燃料+オイル」が圧縮
  2. 上に移動したピストン下の空間が広がることで新しく「空気+燃料+オイル」を吸い込む
  3. 圧縮された「空気+燃料+オイル」が点火プラグの火花によって燃焼
  4.  3と同時にピストンが勢いよく下がり燃えカスである排気ガスが排気ポートまたは排気バルブから排出
  5. さらに「空気+燃料+オイル」がシリンダー内に流入

 

1~5を繰り返すことで燃焼が起こります。上下1度の回転で燃焼と排気と吸気が完了することからシンプルであって効率的です。

 

4ストの仕組みを詳しく解説

 

4ストはピストンの2往復、すなわち4ストロークで1度の燃焼を起こします。2ストよりも1往復多いことからクランクシャフトが2回転することでようやくパワーを出すエンジンです。

  1. ピストンが上から下へ移動すると吸気バルブが開き「空気+燃料」がシリンダーに吸い込まれる
  2. ピストンが上がるとバルブがすべて閉じられ「空気+燃料」を圧縮
  3. 圧縮された「空気+燃料」がスパークプラグの点火で爆発
  4. 爆発によってピストンが下へ勢いよく下がる
  5. ピストンが上昇することで排気バルブが開き燃えカスである排気ガスがシリンダーの外へ排出される

 

4ストは緩やかにパワーがでるので日常や長いツーリングに向いています。また2ストと違いオイルが一緒に燃焼されないことから、環境にも優しいエンジンです。環境へ配慮は4ストが主流になった要因のひとつといわれています。

 

2ストのメリットとデメリット

 

2ストには次のようなメリットがあります。

メリット

  • パワーが強い
  • 軽量
  • 構造が簡単

 

同じ排気量の4ストと比較をすると加速力が高いです。エンジン自体が軽量でありながらもパワフルなのでバイク好きの人が楽しめます。エンジン構造も簡単なので、分解や整備がしやすいのもメリットです。

 

ただ2ストには次のようなデメリットがあります。

デメリット

  • 燃費と環境に悪い
  • 排ガスが多い
  • 音と振動が大きい
  • 新車があまり出回っていない

 

4ストと同一条件で比較をした場合の燃費は悪いです。2ストは掃気時に未燃焼ガスが排出される可能性があり、一部が排気と一緒に流れでることがあります。燃料を無駄にしやすく燃費が悪くなるのはデメリットです。

 

またオイルが一緒に燃えるので排ガスが多くでます。環境問題によりメーカーも生産を抑えているようです。燃焼の回数が4ストより多いことからエンジン音や振動が強くなります。ただ人によっては「それが好き」といったメリットになるかもしれません。

 

4ストのメリットとデメリット

 

4ストには次のようなメリットがあります。

メリット

  • 燃費が良い
  • 2ストよりも環境に良い
  • 耐久性が高い

 

2ストよりも燃料のロスが少ないので燃費がよく経済的です。またオイルが一緒に燃えず循環するので汚れにくく、煙や臭いが少ないことから環境にも配慮されています。同じ回転数で比較した場合、爆発の回数が2ストよりも少ないので、エンジン音や振動もマイルドです。

 

また、4ストはオイルが循環して潤滑していることから、ピストンやシリンダーがオイルの膜によって保護されます。しかも2ストより燃焼する回数の頻度も少ないです。吸気と排気がきっちりと分離されているので、燃えカスがたまりにくいといった特徴もあります。これらによりピストンやパーツの摩耗が少なくなることから耐久性が上がるのもメリットです。

 

ただ4ストには次のようなデメリットがあります。

デメリット

  • エンジンが重くなる
  • 加速が緩やか
  • オイル交換が必須

 

4ストは部品が多くなることからエンジンが重くなりがちです。また2ストよりも加速が緩やかなので、物足りないと感じる人もいることでしょう。パワーは2ストよりもでにくいです。また2ストと違い4ストはオイルが燃えません。内部に汚れが蓄積しやすいので、定期的に交換をしないと故障の要因となります。

 

2ストと4ストの価格の違い

 

2ストと4ストの価格の違い

 

4ストのエンジンは部品が多くエンジン製造のコストがかかり価格が上がりやすいです。しかし現在2ストのバイクは、排ガスの規定によりほとんど製造されていません。公道で乗るような2ストバイクはどの国内メーカーも終了しています。

 

2ストで製造されているバイクは競技車両です。競技車両なので保安部品がなくナンバーが取れないことから公道での走行はできません。

 

エンジンの製造コストは4ストの方が高いですが、希少価値から2ストバイクの価格は上がっています。「2ストバイクがほしい」となれば、中古での購入を検討しなければいけません。中には超プレミアがついた2ストバイクもあります。価格は4ストバイクの数倍です。

 

2ストバイクの製造がないことで価格差が生じています。中古の2ストバイクは高騰傾向にあるので注意が必要です。

 

2ストと4ストの違いまとめ

 

2ストと4ストにはエンジンの性能に違いが生じます。走りを楽しみたい人には2ストバイクがおすすめです。しかし現行の2ストバイクは公道を走れません。公道が走れる2ストバイクが欲しいのならば中古で探しましょう。新車での購入は難しいです。

 

日常生活に使用するのならば4ストバイクの快適さをおすすめします。環境や音に優しいのが4ストバイクです。新車での購入もでき選択肢も多くあります。中古品だと安く買えるのも2ストバイクとの違いです。

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