季節・気温別の粘度選び:夏・冬・通年でどう変える?

オイルの基礎知識

季節・気温別の粘度選び:夏・冬・通年でどう変える?

 

「バイクのオイル粘度って、季節によって変えるべき?」と悩まれている人はいませんか?冬はエンジンがかかりにくく、夏はオイルが熱で薄くなる。そんな悩みを抱えるライダーは多いでしょう。
結論から言うと、気温・地域・走行環境に合わせて粘度を選ぶことが大切です。オイルは温度で性質が変わり、粘度が合わないとエンジンの始動性や保護性能に影響します。とはいえ「どの数値を選べばいいのか」「冬と夏で何が違うのか」と迷う人も多いはずです。

 

そこで今回の記事では、季節・気温・地域・用途別に最適なバイクオイル粘度を解説します。さらにHTHS値や蒸発性(NOACK値)など専門的な要素もわかりやすく説明するので参考にしてください。

 

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バイクオイルの粘度や選び方を理解して季節ごとの違いを知ろう

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気温やエンジンの熱環境によって、オイルの粘度(流れやすさ・粘り)は大きく変化します。まずは基本的な粘度の意味を理解することから始めましょう。

 

SAE粘度の読み方と意味

オイルのラベルにある「10W-40」などの表記は、次のように読み解けます。

 

さらに詳しく

  • 「W」はWinter(冬)を意味し低温時の流動性を示す
  • 「Wの前の数字」が小さいほど、低温でもオイルが早く流れ始める(流動点が低い)
  • 後半の数字(例:40)は、高温時の油膜保持力を示す

 

「10W-40」は、冬もそこそこ柔らかく、夏の高温にも対応できる万能タイプです。この数値の組み合わせによって、エンジンの始動性や保護性能が変化します。

 

季節・地域・走り方で粘度を変える理由とは?

バイクは車よりも外気温の影響を強く受けます。季節や地域・走行スタイルに応じて粘度を変えることで、エンジンを守りながら快適な走行が可能です。

 

さらに詳しく

  • 北海道の冬なら「5W-30」など低温始動性重視
  • 関東や中部では「10W-40」が通年バランス型
  • 沖縄や真夏のツーリングでは「15W-50」で油膜重視

 

粘度は「一度決めたら終わり」ではなく、環境によって見直すものだと覚えておきましょう。

 

冬の低温でも安心!始動性を高めるオイルの選び方

冬の低温でも安心!始動性を高めるオイルの選び方

冬はエンジン始動時の抵抗が大きく、オイルが固まりやすい季節です。適切な粘度を選ぶことで、寒い朝でもスムーズに走り出せます。

 

低温時は「W側」の数値に注目して選ぶ

寒冷地で重要なのは、低温でも流動性を保つことです。そのため、低温時はWの前の数値が小さいオイルを選ぶことを意識しましょう。

 

ココがポイント

  • 「0W」や「5W」は氷点下でもスムーズに循環
  • 「5W-30」や「0W-40」は北海道や東北などの冬に最適
  • 柔らかめのオイルは低温でもすぐに循環し金属同士の摩耗を防ぎやすくする

 

ただし、柔らかすぎると高温時に油膜が薄くなることもあります。冬でも長距離や高速走行をする場合は「5W-40」など少し硬めを選ぶと安心です。

 

冬に意識したいメンテナンスと走行前の工夫

オイル選びだけでなく、使い方でも始動性は変わります。

 

ココがポイント

  • エンジン始動後は30秒ほどアイドリングしてオイルを循環
  • 定期的な交換で汚れや酸化を防止
  • 屋内やカバー保管でエンジン冷却を防ぐ

 

低温始動性の高いオイルと正しいメンテナンスで、冬でも快適に走行できます。

 

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夏の高温下で粘度を上げるとエンジンが守られる理由

 

夏は油温が上昇しやすく、オイルの粘度が低下して油膜切れのリスクが高まります。高温時の安定性を重視して選ぶのがポイントです。

 

高温走行では油膜保持とHTHS値を意識しよう

高温下でエンジンを守るには、高温側の数値が大きいオイルを選びましょう。

 

ココがポイント

  • 「15W-50」「20W-50」は高温耐性が高く夏のツーリング向き
  • HTHS値(高温高せん断粘度)が高いほど油膜が強く安定
  • 空冷エンジンや大型バイクでは特に高HTHSオイルが有効

 

ただし、原付や125cc以下の小排気量車では、粘度が高すぎると燃費やレスポンスに影響するため注意が必要です。HTHS値はカタログや製品情報で確認でき、「3.5以上」が高温耐久に優れます。夏の渋滞や峠道では、この値が信頼性の鍵を握るのです。

 

蒸発性(NOACK値)が低いオイルで真夏も安心

夏の長距離走行では、オイルの蒸発(減り)にも注意が必要です。NOACK値が低いオイルは蒸発しにくく、安定した性能を維持できます。

 

ココがポイント

  • NOACK値が低い=オイル消費が少ない
  • 長距離や高速走行でも油量が減りにくい
  • 結果的に交換サイクルを延ばせる

 

ただし、粘度を上げすぎると燃費が悪化することもあります。メーカー指定の範囲内で調整することが、最も安全な方法です。

 

通年で使えるバイクオイル粘度を地域と用途で選ぶコツ

 

年間を通して使うなら、気候差の影響を受けにくい中間粘度を選びましょう。住んでいる地域や走行スタイルによって、ベストな組み合わせが変わります。

 

通年で安定するおすすめの粘度バランス

通年で安定するおすすめの粘度バランスは次のとおりです。

粘度バランス

  • 温暖な関東や関西では「10W-40」がバランス型
  • 寒暖差がある中部は「5W-40」が汎用的
  • 暑い地域やスポーツ走行なら「15W-50」が安心

 

部分合成油や全合成油は、季節変化に強く通年使用に向いています。季節の変わり目にオイル交換を行うと、より安定したエンジン保護が可能です。

 

地域と走行スタイルで変わる粘度チャートを参考にしよう

地域 通勤中心 ツーリング中心 スポーツ走行
北海道・東北 5W-30 5W-40 10W-40
関東・中部 10W-40 10W-50 15W-50
九州・沖縄 10W-40 15W-50 20W-50

 

寒冷地では柔らかめ、南の地域ではやや硬めが基本です。自分の地域と走行パターンを掛け合わせることで、最適な1本が見えてきます。

 

HTHSや蒸発性、メーカー指定を確認して失敗を防ごう

 

同じ「10W-40」でも、オイルの性格はメーカーや成分によって異なります「HTHS値」「NOACK値」「メーカー指定」を確認して、自分のバイクに最適な粘度を選びましょう。
HTHS値が高ければ高温下でも油膜が安定し、NOACK値が低ければ蒸発が少なく安心です。NOACK値は「オイルを250℃前後に加熱した際、何%蒸発するか」を示す指標なので、数値が低いほど蒸発しにくく、夏に強いオイルといえます。

 

また、メーカーが指定する粘度を大きく外すと保証対象外になる可能性もあります。基本は「指定範囲内で季節に合わせて微調整する」ことが安全かつ効果的です。

 

季節・気温別の粘度選びまとめ

 

バイクオイルの粘度は、気温・地域・走り方で最適解が変わります。冬は低温始動性、夏は高温耐久性、通年はバランス重視が基本です。
さらにHTHS値やNOACK値を意識すれば、より精密なオイル選びができます。季節ごとにオイルを見直すことで、エンジンの寿命を延ばし、走りも軽くなるでしょう。あなたのバイクにも、季節に合うオイルを選んでください。

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