バイクのエンジンオイルの種類と違いを徹底解説

オイルの基礎知識

バイクのエンジンオイルの種類と違いを徹底解説

 

  • 「バイクのオイルっていろいろあるけど違いがわからない」
  • 「結局バイクのオイルはどれを使えばいいの?」

 

初めてのバイクでオイルについて悩んでいる人はいませんか?バイクの性能を長く維持し、安全かつ快適に走行するために欠かせないのが「エンジンオイル(バイクオイル)」です。しかしバイクのオイルにはいろいろな種類があり「どれを選ぶのが正解なの?」と感じる人がおおぜいいます。

 

間違えて使用しバイクの調子を落とすわけにはいきません。そこで今回は、バイクのオイルの基本的な種類から、それぞれの違い、選び方のポイントまで、バイク初心者にもわかりやすく徹底解説します。参考にしてください。

 

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バイクのオイルの役割

 

バイクのオイルの役割

 

種類や違いを知る前に、最初はオイルの役割について確認をしておきましょう。バイクを運転しているときのエンジン内部は高回転することもあって非常に高温です。その過酷な状況の中でエンジンオイルは次の5つの役割を担っています。

潤滑作用 金属部品同士の摩擦を抑えて、エンジンをスムーズに動かす
冷却作用 高温になったエンジン内部を冷やす
洗浄作用 エンジン内にたまる汚れやスラッジを取り除く
防錆作用 湿気や酸化から金属を守る
密封作用 ピストンとシリンダーの隙間を埋めて圧縮を保持

 

定期的にオイルを交換しないと上記が衰え、エンジンに深刻なダメージを与えるかもしれません。焼き付けや摩耗といったエンジンのトラブルを抑え、正常を維持するためにもエンジンオイルは必要です。

 

エンジンオイルの種類と違い

 

エンジンオイルは、その製造方法によって大きく次の3種類に分類されます。

  1. 化学合成油
  2. 部分合成油
  3. 鉱物油

 

化学合成油

 

化学合成油は、化学合成ベースオイルと、「耐磨耗」「汚染防止」「耐腐食」等を増強する添加剤を混合して作られた高性能エンジンオイルです。潤滑油として十分な性能をもたせるために合成されています。

 

高性能エンジンや、高温高圧など過酷な状況下での使用に適しており、酸化安定性が高く、エンジンをしっかり保護してくれるのが特徴です。価格は高額ですが、サーキット走行やスポーツ走行に向いています。

 

部分合成油

 

部分合成油は、鉱物油をベースに、化学的に合成された成分を加えることで性能を高めたエンジンオイルで、両者の特性をバランスよく備えています。価格は鉱物油よりも上がりますが、「熱に弱い」「酸化しやすい」といった弱点を補っています

 

性能の価格は、ほかの化学合成油と鉱物油の中間です。コストと性能のバランスが良いことから、バイクをツーリングや通勤などに使っている人に向いています。

 

鉱物油

 

鉱物油は原油(精製されていない石油)を蒸留、精製することで不純物を取り除いたエンジンオイルです。最も安価で、ベーシックなエンジンオイルといえます。熱にあまり強くなく酸化しやすいのが特徴です。

 

エンジンオイルの劣化も早いので交換頻度に気を付けなければいけません。古いバイクや低回転のエンジンに向いています。

 

エンジンオイル種類別比較表

 

種類 特徴 向いている用途 価格帯
化学合成油 高性能・高耐久 スポーツ・高性能車 高い
部分合成油 バランス型 通勤・ツーリング 中程度
鉱物油 安価・短寿命 旧車・低負荷運転 安い

 

オイル粘度の違いと見方

 

エンジンオイルを探していると、必ず「10W-40」や「5W-30」のような表記を見かけます。これは世界的に普及しているアメリカのSAE規格です。エンジン内部で粘度により油膜を形成することで部品を守ります。

 

ココがポイント

  • 粘度が低すぎる:油膜が切れやすくなり部品がこすれあってしまう
  • 粘度が高すぎる:流れが悪くなり潤滑が間に合わなくなる

 

粘度が合っていないと、エンジン内部でオイルが十分に循環できなくなり、エンジンに支障がでるかもしれません。ただエンジンの熱は、始動前は冷たく、走行中になるとバイクによってはオイル温度が100度を超えることもあります。各エンジンの設計に基づいた推奨粘度を使用することが大切です。

 

では「10W-40」の表記で見方を確認しておきましょう。

ココがポイント

  • 10W:冬(Winter)の低温時の粘度※数値が低いほど低温でも流れやすい
  • 40:高温時の粘度※数値が高いほど、エンジンが高温時でも油膜がしっかり保たれ、金属同士の接触を防ぐ効果が高くなる

 

バイクを運転するときの状況にも注意をしましょう。夏場に山道や高速道路を走るなら「10W-50」のような高温粘度の高いオイルが有利です。逆に寒冷地や冬場の通勤では「5W-30」など低温粘度の低いものを選びます。

 

ただ使用する粘度は必ずバイクの取扱説明書に記載された推奨粘度を確認したうえで選ぶことが大切です。

 

2スト用と4スト用エンジンオイルの違い

 

2スト用と4スト用エンジンオイルの違い

 

バイクのエンジンには「2ストロークエンジン(2スト)」と「4ストロークエンジン(4スト)」があります。それぞれに合わせたエンジンオイルを使うようにしましょう。

 

2スト用オイル

 

2ストエンジンは、上下1往復のピストン運動で吸気・圧縮・爆発・排気の4行程を行います。主な特徴は次のとおりです。

主な特徴

  • エンジン燃焼時に一緒に燃える
  • 混合ガソリンまたは分離給油で供給
  • 4スト用オイルよりも洗浄性が高い

 

2ストエンジンは、燃焼時にオイルも一緒に燃焼されるため、カーボンなどの堆積物が発生しやすく、それを抑えるために洗浄性が高く設計されているのがポイントです。使用方法には「分離給油」と「混合給油」の2通りがあります。

 

最大の特徴はガソリンと一緒に燃焼されることです。もし4スト用オイルを入れると燃焼をしない成分が残ります。エンジン内を汚してしまう原因です。また潤滑や粘度が不適切なので誤って入れないよう注意をしましょう。

 

4スト用オイル

 

4ストエンジンは、上下2往復のピストン運動で吸気、圧縮、燃焼、排気の4工程を行います。主な特徴は次のとおりです。

 

主な特徴

  • エンジン内を循環しながら潤滑
  • 定期的な交換が必要
  • 粘度や清浄性を重視

 

2スト用オイルとは違い、燃焼されずに何度も循環をしながら利用します。そのため定期的に交換をしないとオイルの効果が薄れ、エンジンのダメージにつながるかもしれません。劣化を放置すると粘度や清浄性が損なわれ、クラッチの滑りや始動不良などが起きやすくなります。

 

また、4ストエンジンに2スト用オイルを入れると潤滑や粘度が合いません。エンジンが焼きつく恐れがあるので注意が必要です。

 

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バイクのエンジンオイルの種類と違いまとめ

 

バイクオイルは「種類」「粘度」「エンジン形式」によって選ぶべき製品が異なります。性能重視で選ぶのか、コスト重視で選ぶのか、自分のスタイルをしっかりと見極めることが重要です。

 

適切なオイル選びと定期的な交換を心がければ、エンジンの寿命を延ばし、トラブルを未然に防ぐことができます。この記事を参考に、あなたのバイクにぴったりの1本を見つけてみてください。

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